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保管箱  (書籍  5冊)
ロックよ静かに流れよ 吉岡紗千子著 (1984) 径書房
 映画「ロックよ静かに流れよ」の原作ノンフィクション。この本は巻頭から涙が止まらなかった。映画は子供達を中心に据えての青春映画の観があったが、原作は離婚した母親(大人)の奮戦記である。そこには、図らずも新たな人生の荒波に乗り出してしまった小舟のような危うさがあるのだが、それは、子供達がこれから体験しなければならない荒波とどこかでリンクしていたのではないだろうか。その点でこの著者も青春のまっただ中にいたのではないか。不幸な出来事の中で、子供達と同じように悩み、葛藤する著者(大人)の熱い文章。子供達は子供達で、大人達は大人達で、この出来事に関わった全ての登場人物の熱い思い。頁をめくる度に熱い涙が止まらなかった。それは、大人、子供関係なく、全ての(読者を含めての)人の青春だったのかも知れない。(2003.8.28)
被写体 三浦友和著 (1999) マガジンハウス
 壮絶な本である。著者の怒りはこの本の何十倍、いや何百倍もあったのではないだろうか?。報道の名の下に、エスカレートするマスコミの狂乱状況に個人で必死に対抗する著者の毅然とした姿勢に、思わず拍手。
 しかし、20年経っても、マスコミはエスカレートするばかりではないのか?。我々が本当に知りたい真実は何も伝えず(伝えられず=伝える能力も無く)、当たりさわりの無い事柄は、重箱の隅まで徹底的に報道する(その内タマちゃんの独占インタビューをクソ真面目にやるかもね)。ストレスがたまらないのだろうか?。
 著者の怒りを抑制した文章、文脈をマスコミ人は心して読むべきである。(2003.6.10)
古本屋「シネブック」漫歩 中山信如著 (1999)  ワイズ出版
 映画関係の本は書店に行けば山のように積んであるが、別に読みたくなるような本はほとんどありません。それに一寸読みたくなるような本は4,5千円と高価になってしまうので、もっぱら図書館利用です。しかし、食を抜いてまで購入するような本は図書館で乱読するにしても、そうあるものではありません。今回の本は約8ヶ月ぶりの当たり本です。
 古本と言えば、今は「ブックオフ」の時代。しかしながら、量(涼ー夏期)はあれど、読みたくなるような本はなかなかみつかりません。例えば、この本で取り上げられているような本は先ず「ブックオフ」では、捜すのが困難(あればラッキー)と思われます。この本で紹介されている本はどれも魅力ある本ばかり(1冊のみ当方、ゴミ箱に入っている本がありますが)。
どれも宝物のような本であります。町の書店ではなかなか発見する事は難しくなってきていますが、いつか何処かで、それらの本と出会うこともあるでしょう。と、いう訳で、今回は上手く書けませんでしたが、凄く使いやすく、楽しく読ませていただいた本でした。(2002.12.6)
フォーカスな人たち(「旬の自画像」加筆、改題版) 井田真木子著 (2002)  新潮文庫
 これは、80年代以降の時流に好むと好まざると、乗ってしまった人々の奮戦記である。著者は、バブルに振り回された人々の生き様を、冷静に、しかし、時には熱く、接写していく。
 圧巻は、黒木香と村西とおるのラブ?・ストーリーだ。それぞれの渇望が、運命のいたずらのように出会い、満たされ、そして崩壊してゆく課程における、この密度の濃さ。壮絶な人間性がそこにある。確かに一時期は誰もが彼らの事を知っていただろう。しかし、忘れかけている今だからこそ、時流に乗った彼らの凄まじい生き様を、ひょっとして受け入れ(理解)られるのではないだろうか?。そして、時代は……。(2002.4.1)
まるまる1冊マルセ太郎 (2001)  早川書房
 このところ、立て続けに読んだ「マルセ本」。皆それぞれに面白い(写真集まで出ている)。とりわけこの本のハイライトは山田洋次監督との「対談」だ。マルセさんのマルセさんたる迫力を、山田監督がシナリオ形式に再構成。マルセさんの動きが手に取るように解り、読み進む程に、ジャンジャンのステージを見ているかのような臨場感で、胸が熱くなった。マルセ太郎の熱い足跡はファンならずとも一読の価値あり。(2001.9.11)


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